IT係の日常

IT係の仕事

IT担当もびっくり!「あなた、誰ですか?」

小さな(IT系ではない)会社でIT担当をやっていると、「パスワードがわからなくなった」「パスワードを教えてくれ」という問い合わせが来るのは、日常茶飯事。最近のシステムは、パスワードそのものを保存せず、ハッシュ値を保存するので、管理者といえどもパスワードそのものを見ることはできない。それで、こちらとしては新しいパスワードを設定してあげる、という対応になる。自身で設定したパスワードなんだから、しっかり管理してよ、なんてヤボな説教はしない。パスワードを書いた付箋をモニターに貼っている人よりは、偉いかも知れないし。さて、その日も、システム関係でちょっとした変更などがあり、問い合わせが普段より多かった。ある営業所からの電話が内線で回ってきたので、出てみると、いきなり「私、名前がわからなくなりました」と困惑しきった年配女性の声が。「は? あなたの名前ですか? というか、あなた誰ですか?」と私。年配の方も多数在籍する会社なので、一瞬、老人性痴呆か?とこちらも緊迫したが、よく聞いてみると、知っている人だった。連絡してきた理由は、自分の名前が思い出せなくなったのではなく、あるシステムにログインするためのIDがわからなくなった、という問い合わせだった。その人のIDを確認して伝えた上で、「IDを忘れた」「ユーザー名がわからない」など、いろいろ言い方があるので、今度からは、そう言って下さい、いや、それよりも、電話がつながったら、まず名乗ろうよ、とお願いして対応を終了した。

IT担当もびっくり!「あなた、誰ですか?」 その2

小さな会社でIT担当をやっていると、「ウィルスに感染したかも!」という連絡が来るのも珍しいことではない。一時期、ブラウザーのポップアップで「あなたのPCがウィルスに感染しました」というような警告文と、表示された電話番号に電話するよう促すメッセージが表示される、という子供のイタズラみたいな詐欺が流行ったことがあった。これまで相談のあった事例は、いずれもインチキで、実際にウィルス感染していた例はない。ブラウザを強制的に終了させれば済む話なのであるが、PCに詳しくないひとは、狼狽してしまう。その日も例によって、「ウィルス感染ですってよ!」と内線で電話が回ってきた。電話に出てみると、やはり年配の女性の、しかし聞き慣れない声。誰だろう。「すみません、ちょっと電話が遠いのですが、どちらの方ですか?」そもそも私、電話の声で誰だか判別するのが苦手なので、慎重にお尋ねする。すると、「〇〇営業所の〇〇です」と改まった口調で答えてくれたが、はて?そんな営業所、聞いたことがない。この会社に入ってもう5年、さすがに知らない営業所はないはず。再度、営業所名を確認し、大きめの声でこう尋ねた。「どちらにおかけですか?」「あら、シールに書いてある電話番号にかけてるのよ」「何番におかけですか?」間違い電話だったのである。間違い電話だろうが、なんだろうが、とにかく「ウィルス感染だっ」ってことで、IT担当に電話は自動的に回ってきてしまうのであった。これもなにかの縁、一瞬、その、よその会社のおばさまをサポートしてやろうかと思ったが、そういう訳にもいかない。番号を確かめておかけ直しください、と言って電話を切った。

そしてさらに

それからしばらくして、今度は(当たり前だがうちの会社の)現場のおばさまから、やはり「ウィルスに感染しました」ってメッセージが出た、ということで、電話がかかってきた。インチキだからブラウザを終了するように、と説明を始めると、表示されたサポート窓口と称する電話番号に「もう、電話をかけちゃった」というのである。ニセのサポート窓口に電話してしまった? 自分の会社のIT担当に電話する前に? なんでそういう順番になるのか・・・。仕方ないので、念の為、アンチウィルスソフト(ZERO ウィルスセキュリティ)でスキャンだけしてもらい、異常がないことを確認。ニセ・サポートへの電話は、固定電話を使ってかけた、電話はつながらなかった、ということなので、おそらく実害は発生しない、ご心配なく、と伝えた。そして、今度から何かあれば、まず、こちらに電話して下さい、と言って電話を切った。そうです、何かあったら、よその会社ではなく、ニセ・サポート受付でもなく、あなたの会社のIT担当者にご連絡ください。