IT係は社内で嫌われてしまうことがある。それはなぜか?
IT係はなぜか嫌われてしまうことがある。ドラマにもたまにIT担当者役の人が出てくるが、あまり良いキャラクター設定ではなかったりする。それはなぜだろうか?思い当たる原因を書いてみよう。
IT係はお巡りさん?
かつて私物のUSBメモリーを堂々と使っている(自分の名前のテプラまで貼っていた!)不届き者を発見し、注意したところ、「お前は会社の犬かっ?!」と罵られたことがある。中小企業でひとりIT係をやっていると、必然、セキュリティについても責任を負うことになる。禁止されているものを目の前で使われたら、注意せざるを得ない。それに対して、この反撃。IT係って社内における警察のような存在になっているのか、と感じたのであった。ホントのお巡りさんも、眼の前で駐車違反をやられたら、反則切符を切らざるを得ない。するとドライバーから「なにすんねん!」と罵られることもある。必要な職種であり、普段は感謝されることも多いが、嫌われることもある。似ている。
IT係は秘密警察?
お巡りさんどころではなく、秘密警察のように思われているフシもある。以前、取引のあった会社でちょっとしたリストラが行われた際、勤務時間中にアダルトサイトを見ていたオジサンが懲戒解雇になった、という話を聞いた。情シス部がチェックしていたらしい。自業自得ではあるが、いきなりクビなのか、と社内にさざ波が立った。よほど長時間だったのだろうか・・・。しかし、ちょうどリストラの最中だったので、もしかしたらクビにするためのネタを情シス部が探したのではないか、という憶測も流れたらしい。私も勤務先で「会社のPCって、ウェブでなにを見ているか、(そちらに)わかっちゃうんですか?」と質問されることがある。そういう「ひそかに監視されている感」は、あるのかもしれない。そこまで暇ではないのだが。今の勤務先の場合は、インターネットへの接続はベンダーさんのデータセンターを経由する形になっていて、ほんとにヤバいサイトはUTMで弾かれることになっているが、ログを取るのは有料オプションで、契約していない。EDRの類も利用していないので、不埒なサイトを見ているヤツがいても取り締まれない。かといって「フリー宣言」するわけにもいかない。わざと曖昧に「さあ、どうでしょう」などと返事をして抑止効果を狙う。さらに不気味がられる結果になる。
もうひとつ、秘密警察的な雰囲気をまとってしまう理由がある。IT係、特に「ひとり情シス」と呼ばれる立場にると、日常業務において、しばしば報告や相談が必要になるため、どうしても会社の上層部と話す機会が多くなる。これがはたから見ると、上と「べったり」という印象になり、なにか悪さすると上に報告されるんじゃないか、と不良社員から警戒されているような気がする。
会社の「空気」も影響する
本社と支店、あるいは管理部門と現場の間のコミュニケーションがうまくいっていないと、双方、不信感を持ってしまうし、ちょっとしたことで緊張が生まれてしまう。先日もそんな、不穏な空気の漂う現場に、防犯用のウェブカメラのセッティングをしに行ったのだが、「なんの目的だ、別にサボってねえぞ」「これ、音声も入るの?」といった質問を受け、「いやいや防犯用ですよ」「会社の悪口は外でお願いしますねw」などと答えながらの作業となった。こういうのは、冗談で返せるくらいのいい加減な人(私)ならともかく、まじめな人だと疲れる状況だろう。
無法者だらけの街に警察官がひとりだけ?
不信感というのは、一度発生してしまうと、なかなかリセットができない。会社全体の雰囲気も悪くなるし、その結果として、IT関係のトラブル、セキュリティ上の問題も起こりやすくなる。無法者だらけの街に警察官がひとりだけ、そんなアクション映画のような、疲れる職場になりかねない。そうなると、もはやあなた一人の力ではどうにもならない。なんだかこの会社、最近、雰囲気悪いな、と感じたら、それはあなたの生存本能が発するアラートかも。その時は転職も一つの選択肢だろう。