各部署にファイル共有のためのNASがある、という状況
当初は、簡単にファイルを共有したい、という要望に応えて導入したNAS(Network Attached Storage、簡単に言うとLANに接続できる外付けハードディスク)であった。ファイル共有のためだけなら、ということで、BuffaloのRAIDが組めないシングルドライブのものを選んだ。2万円くらい。社員たちには、耐久性までは期待しないでね、必ず自分のPCにもファイルは保存してね、と言ってあったのだが、やはり使い始めると、その便利さゆえか、いつのまにか「最新のファイルはNASの中です、NASが死んだら世界の終わりです」という状態になってしまっていた。
故障も心配だが、ランサムウェアの心配もある
まずい状況である。今の会社に入ったばかりのころ、やはりある部署で、某メーカーのNASが故障し、メーカーにデータ復旧を依頼していた。1TB程度のNASでも復旧に10万円近くかかる。しかもデータは80%くらいしか復旧できなかったらしい。BuffaloのNASは、使い始めて2年くらい。今のところ、故障はないが、安心はできない。それに加えて今はランサムウェアの心配もしなければならない。ネットワークに常時接続していて、大事なデータが収まっているNASは、攻撃者たちの格好のターゲットになってしまう。
原始的、かつ経済的で、有効なバックアップ方法は
ファイルサーバーで、毎日、自動でバックアップ、バックアップ用のメディアは、バックアップ完了後、オフライン(ネットワークから外れる)、バックアップに失敗したらメールなどでお知らせ。こういうシステムはもちろんあって、ベンダーさんに依頼すれば、すぐに構築してくれるはず。しかし、それなりの費用となる。とりあえず、簡単なもので応急処置をしたいと思い、1万円くらいの小型の外付けハードディスクを支給して、各自、週1回程度、バックアップを取ってもらうことにした。これなら、安価だし、バックアップ後、オフラインになるので、ランサムウェア対策にもなる。
ヒューマンエラーによるデータ消失も多いはず
そうなのである。例えば、手違いで大事な最新ファイルを、同じ名前の古ーいファイルで上書きしてしまったり。最近は丁寧な警告が出るので、こういうミスは減ったかもしれないが、ゼロではないだろう。そういう人間のミスが原因だと、RAIDを組んでもムダ。「自動」でバックアップしてくれるソフトを使っていても、それがかえってアダになる場合もある。週に1回、「手動」でバックアップを取るというのは、たまに忘れることもあるかもしれないが、そのいい加減さのお陰で一種の冗長性があり、悪くない方法だと思う。
ご参考:選んだ機材
稼働中のNASは、Baffaloの Linkstation シリーズ。わかりやすい管理画面で、リモートで管理できる。バックアップ用に購入したハードディスクは、同じくBaffaloのHD-PCGU3-Aシリーズ。衝撃吸収設計(特許出願済)を好感して選定。また、故障予測機能「みまもり合図 for ポータブル」というのが付いてくる。「ハードディスクの健康状態を把握し、製品の劣化が進むとLEDでお知らせ」してくれるらしい。本当だろうか・・・。まあ、気休めかもしれないが、ないよりはマシだろう。※それよりも年に一度くらい、買い替えてしまったほうが良いかもしれない。1個 ¥7,310(ヨドバシ.com 2023年6月現在)なので、悩むほどの出費ではない。年度ごとにバックアップとして保管しておく、という運用の仕方も良いかもしれない。
※現行機種のHD-PCFS1.0U3-BBAは、「故障予測サービス「みまもり合図」に対応」という表記に変わっていました。詳細はBuffaloのHPでご確認ください。(2023年10月30日追記)