中小企業の新規出店、Wi-Fiはどうする?
新規で出店する時、まず、NTTに光回線の手配をお願いします。
その時ついでにプロバイダー(OCN)もお願いします。OCNはNTTファミリーなので、一緒に受け付けてくれます。事前に依頼しておけば、光回線の開通工事の際にプロバイダの設定もしてくれます。自分でもできる設定ですが、Gatewayの設置時にインターネットにつないでくれて、インターネット接続の確認もしてくれるのは、手間も省けるし、気分的にも楽です。さて、その次はなんでしょう? Wi-Fiです。しかしこれはワンパターンではなく、新店舗の営業の仕方に合わせて決めています。
家庭用のWi-FiルーターをAPとして使う
ゲストにWi-Fiを提供しない、つまりWi-Fiが不安定でもクレームにならない、スタッフも2〜3人だけ、というような数店舗で使っています。上からも「安いのでいいよ〜」と言われます。しかし、少人数だからといって、Wi-Fiが不安定でも困らないだろう、と考えてしまうのは間違いです。人数が少ない分、一人あたりの業務量が多かったりもしますので現場の人たちの怒りを買います。また、印象として一般家庭用のルーターは、ものにもよると思いますが、時々つながらなくなるということはあります。ほとんどの場合、再起動すれば直ってしまうのですが、現場の人に「再起動してみて」と言っても、すぐに通じる人と通じない人がいます。そもそもAP(ルーター)ってどれ?という説明に苦労する場合があります。また高所に設置されていると再起動も一仕事です。少なくとも定期的に指定した時間に再起動をスケジュールできる機能がないと、困ったことになります。
初期費用もランニングコストも最小限にしたい、という場合でも、自分の経験上、家庭用ルーターはお勧めしません。
NTT(ドコモ)のギガらくWi-Fi
楽(ラク)したかったらコレです。CiscoのMerakiをレンタルで利用する「ハイエンドプラン」が、月額4,180円です。またオンサイト保守の契約も550円で可能です。レンタルですから故障した場合は、交換してくれます。また、いつも感心するのですが、専用のサポートダイヤルはいつもすぐにつながります。これまで5~6回、電話しているが、1分以上、待たされたことがありません。対応も丁寧な印象です。ただ、「楽」の代償として、ユーザーは管理画面で状態を見るだけ、設定変更などの操作はできません。パスワードの変更もいちいち申請の書面に記入してサポート窓口にPDFで送る必要があります。毎月お金がかかっても良いから、設定など難しいことは丸投げしたい、万一の場合は現地に行って直してほしい、という方には、おすすめのです。
唯一デメリットとしては、レンタルだ、ということです。故障しても無償で交換してもらえるというメリットはありますが、解約しない限り、いつまでもレンタル料がかかるわけです。月額4,180円の場合、3年で、約15万円かかります。APが壊れやすいものであれば、メリットが大きくなりますが、機械的な動作部分がないAPは、滅多に壊れません。長期的に見ると、高くつく方法になりますね。
Buffalo の業務用AP
Buffalo の業務用APを購入すると、KIKI-Navi という無料のサービスを利用することができます。管理画面で状態をモニターできるだけではなく再起動もできます。再起動で地球上の問題のほとんどは解決できると信じる人に好適。また、通信の切断など異常を検知したときはアラートのメールが届きます。そして、なんといっても安価。量販店で2万円台から購入可能です。安さが神聖視される中小企業に好適w 家庭用ルーターじゃマズいけど、NTT(Docomo)のようなオンサイト保守までは必要ないよ、という店舗であれば、選択肢の一つになります。これまで2店舗に設置しましたが、特に不満はありません。
YAMAHAのWLX313YC
セキュリティを考えると、証明書方式がいいなあ、と思ってました。証明書がインストールされているデバイスであれば、すぐにつながる。パスワード忘れてしまっても大丈夫。社員にとっては楽。しかし、一般的なのはアクセス制御うを行うRADIUSサーバーというものと組み合わせる必要があり、初期投資の額は簡単に100万円を超えていきます。RADIUSサーバーの導入費のみならず、ベンダーさんに支払う毎月の保守料もあります。セキュリティ的には、優れているものの、後述のギガらくWi−Fiなどとのコストの差が大きすぎます。
ところが、このYAMAHAのWLX313YC、なんとAP自体が証明書を発行する機能を持ってるのです!思わず、あれこれ調べてしまいました。ヨドバシで5万円くらいで買えますw 5万円で認証局が買えるw ただし、証明書によるアクセス制御は、オンプレミスであれば設定可能な機能だとのこと。要するに設定変更などの作業は、その都度、現地に行ってしなければいけないんですね。私の場合、IT係を一人だけでやっているので、それはちょっと厳しいかもと思いました。店舗が増えていったり、スタッフが入ったり辞めたりするので、管理しきれなくなるだろうな、と考えて候補から外しました。しかし、設置先が1-2箇所だけ、距離的にも近い、人の入れ替わりが少ない、などの条件が揃うのであれば、検討すべき選択肢です。
Aruba
高いけど・・・。丈夫です。ある店舗で3台のArubaを使っています。使用中のArubaは、設置から少なくとも10年は経過しているはずですが、故障知らずです。「ギガらく」の章でも書きましたが、APって、壊れないんですね。保守契約はとっくの昔に終わってますが、正直、不安は感じておりません。再リース中なので、リース料も安い(5年目までの1ヶ月分が、6年目からほぼ同額で1年分に)ものです。証明書方式でアクセス制御する場合は、別にRADIUSサーバーが必要になります。また、Arubaは本体が高いです。量販店では売ってません。ベンダーさんに頼むことになり、保守管理料もかかると思います。評判は良いもののようですが、私は今のところ、あまり魅力を感じていません。
Extreme
現在、導入を検討中。サンコーという会社が輸入している。販売や保守は代理店(ベンダーさん)を通じて行っている。特徴はPPSKを使えることだ。PPSKとは1ユーザーに1つのパスワードを与えてWi-Fiネットワークへのアクセス制御を行う方法。SSIDとパスワードだけだと、それさえ知ってれば誰でも、アクセスできる。脆弱になってしまいがちなセキュリティ※だが、PPSK方式なら、スタッフ1人ずつのアクセス権を管理できることになります。また、他の店舗のAPにもIDとPWのリストを配信しておくことが可能なので、例えば複数の店舗を巡回するマネージャーのAさんは、どの店舗に行っても同じIDとパスワードでWi-Fiを使えるようにできる。逆にAさんが退職してしまったときは、管理画面でAさんのIDを削除すればよい。
しかもリーズナブルです。見積もりによると、3年間で比較した場合に要するコストは、ギガらくWi-Fiより少し高いくらい。次の3年は、本体などの初期費用がないので、逆にギガらくよりも安くなります。これは、できれば年内(いま、2025年9月)に1台、導入してみたいと思ってます。導入したらこの続きを書きたいと思います。