中小企業のIT係の仕事、私の場合
私の勤務先は、従業員数約250人、営業拠点数約20ヶ所のサービス業系中小企業。中途採用である部署の人員として採用されたのだが、IT関係に人より少し詳しい、という理由で、IT係の仕事を兼務することになり、気がつくと、「ひとりIT係」になっていた。ちなみに「情シス」と呼ばれる職種があるが、あれとは別の職種。「情シス」様は、プログラムができて、業務用のシステムなどを立ち上げることができる人たちらしい。なので、「ひとり情シス」を名乗ることは許されない。それで、自己紹介の際はは「ひとりIT係」と称している。
IT係がひとりでいいのか?
IT係が一人しかいなくて良いのか、と言ったら、良いわけがない。拠点が20もあって、PCの数も150台位あるのに、IT係がひとりだけ、というのは、詳しい人が見たら、「それで保守管理できるのか」と怒り出すような話だと思う。実際、できていない。実感として、せいぜい10拠点、PC台数にして100台までが、ひとりで保守管理できる限界だと思う。今もベストは尽くしておりますが。
ひとりIT係が発生する理由
なぜ、IT係が一人だけだったり、あるいは、一人未満なのか?私の勤務先の場合、理由は簡単で、コストの問題である。IT係は、経費を使うだけで、直接利益をもたらす部署ではない。そこに何人も人員を配置する余裕は、小さな会社にはない。また、ちゃんとしたIT系の人材を雇おうとしても、相場の給料が払えない。ただでさえ、不足しているIT系の人材である。また、仮に雇おうと思っても、IT業界の最先端からは程遠い、昭和臭のある会社。将来有望な若手は逃げる。(国益の観点からも、逃げてもらってよい)かくして、専門ではないけど、ちょっと詳しい、くらいの人が、気がついたらIT係になってました。しかも一人だけです、ということになるのではなかろうか。
IT係の仕事内容
おそらく、会社もいろいろ、置かれた環境もいろいろで、一概に言えないと思う。ベンダーさんとの窓口を担当しているだけ。インフラ、デバイス等の導入から保守管理まで、ベンダーに丸投げ、という人もいるだろう。PCのキッティング、エラーの対処くらいは、ネットで調べながら自力でやってるという人もいると思う。また、会社の予算が厳しいので、自分でやれそうなことは、全て自分でややねばならない、という人もいるはず。私はこれに当てはまる。日常の仕事としては、基本、トラブルの対応だ。PCが起動しない、ネットが繋がらなくなった、パスワードを忘れてしまった、などなど。ほとんどは簡単に解決できるもので、電話で状態を聞いて、対処方法を指示するだけで済む場合も多い。ただ、私の勤務先の皆さんは、ITリテラシーが低めで、電話での指示を実行してもらうのも一苦労。そういう場合は、リモートデスクトップツールを使って、遠隔操作で対処する。私の場合は Team Viewer を使っている。ただ、これもネットワークが繋がっていれば、の話で、ネットにもつながらないようなトラブルの場合は、他の仕事を投げ出して、現場に駆けつけることになる。
IT係のつらさ
やはり、一人だけ、ということにつきる。相談相手がいない。教えてくれる人もいない。知識不足は基本、ネットで検索して補うしかない。代わってくれる人がいない。孤島の診療所の医者のようなもので、盆暮れ正月、土日祝日関係なく、病人は出るので、休診(有休)って札を出してても電話はかかってくる。今年も1月2日の朝、初詣で近所の神社に向かう途中でPC不具合との電話があり、対応。ちょうど神社の鳥居の前に着いたところで、復旧。今年もこんな感じか。思わず「守り給え」と祈願。
IT係の楽しさ
矛盾するが、一人だけ、つまり上司もいるような、いないような、部下もいないので気楽。他に詳しい人がいないので、提案も通りやすい。また、うまくPCの不具合などを直せると、とても感謝され、年配のパソコンが苦手な人はお菓子をくれたりするw 同じ社員同士、お互い仕事なので、お気遣いは不要なのだが、うれしいことである。今の世の中、仕事して本気でお礼を言われることが、少なくなっているような気もするので、なおさら。
IT係に向いている人
ひとりIT係の場合は、やはり責任感は必要。しかし、責任感が強すぎると、心が病んでしまうと思う。あと、想定外のトラブルの連続なので、沈着冷静な人がよい。私はこれが弱く、パニックになりやすいので苦労している。パニックになるとミスが増えるので、トラブルを大きくしてしまう場合もある。前任者もトラブルが起こると小声で「落ち着け、落ち着け」と呪文を唱えていた。そういうおまじないが必要なのかも知れない。あと障害の原因、どこが悪いのか、あたりをつける事ができる一種のカンがあると良い。私はPC(といってもMacだが)を使い始めたのが、約30年前。実は今の会社に入るまで、Windowsはほとんど触ったことがなかったのだが、このカンのようなものは、30年間で身についていたようで、Windows相手でも大いに役に立っている。あと最低条件として、デジタル関係全般が嫌いじゃない人。当たり前だけど。
IT係に必要な資格
簡単な目安として、IPAが実施している、ITパスポート資格(略してアイパス)の試験で合格点が取れれば、問題ないと思う。100点満点で60点取れれば合格。過去問は公開されていて、お金を払って受験しなくても、自分が合格できるかどうかは、判定できる。昨年(2022年)、小学生が合格にしてしまって話題になった。エンジニアではなく、どちらかというと一般職向けの資格であり、高度な知識は不要。参考書もたくさん出ている。1冊買って勉強すれば合格するはず。(逆を言えば、これに落ちてしまう人では、まずいかもw)実務でも役立つ(=仕事が楽になる)知識が身につくので、おすすめ。
まとめ
以上、(ひとり)IT係とはなにか、突然IT係に任命されてしまって、戸惑っている方、あるいは、そのような仕事をしてるけど、これでいいのか、よそはどうしているんだろう、などと思って、モヤモヤしている人向けに書いてみました。もし、ご意見などあれば、問い合わせフォームから送ってください。今後のブログの参考にさせていただきます。