忙しいとオファーを断るのは1回まで、の法則

自営業の話

実は今の会社のIT係になったのは最近の話で、それまでは自営業(個人事業主)であった。会社員になってはや7年、自営業時代を振り返ってちょっと書き残してみたくなった。自営業ビギナーの参考になるかもしれない。

フリーランス=自由、ではない

自営業、自由業、個人事業主、英語で言うと「フリーランス」で、なんだか自由な感じ。好きな仕事をやりたい時だけやればよい、というイメージを持っている人もいるかも知れない。しかし、それ、大きな間違いです。

仕事は先着順

仕事は基本的に先着順で受けなければならない。一旦受注したあとで、もっとおいしい仕事が入ってきたら?可能なら両方こなせば良いが、難しいときはどうする? 間違っても先に受けた仕事を断る、なんてことはできない。そんなことをしたら、そのクライアントからは当然ながら2度と仕事が来ない。それどころか、途中で仕事を投げ出しやがった、と悪評まで広まってしまうかもしれない。それで、後からオファーのあった仕事を断ることになる。すみません、いま手一杯でして、次回は是非!などと言いながら。

1回しか断れない理由(暗黙の了解)

それで1回目はいいのだが、これを2回、同じクライアントに繰り返してしまうと、おそらくそのクライアントからは二度と仕事は来ない。いくつか理由がある。その1,なんだ、儲かってんな、と嫉妬されることがある。会社員の経験がある方なら、嫉妬のコワさ、わかりますよねw 世の中には、儲かっている人には仕事を出したくない人たちがいるのである。本当は、ヒマで困っている人に仕事を依頼するほうが危険なんだけどw。理由その2は、その1と似ているのだが、忙しい人は対応が雑になる場合がある。よいクライアントをつかんでいて、いつも仕事がある人は、どうしてもイレギュラーな仕事は、「サブ」的な扱いになってしまう。それをリスクと考えて依頼を諦める人がいる。理由その3,これは業種によると思うが、私のいた業界では、忙しいと言って2回仕事を断るのは、「あなたの仕事は受ける気はありません」というメッセージとして使われていた。なぜ、はっきり断らないかというと、やはりカドが立つからである。その客は他のお得意様の紹介だったりする場合もある。一方、断られる側の客もそこは心得ていた。2回連続で「忙しいから」と依頼を断られると、「ああ、うちの仕事はやりたくないのね」と解釈していた。もちろん、それを言葉に出して問いただすような野暮な真似はしない。いわゆる「暗黙の了解」というやつ。

それでも断らざるを得ないときは

それでも仕事が重なってしまって断らざるを得ない場合は、なるべく具体的に、どんな仕事で手一杯なのか、いつ頃になれば、手が空くのか、といった説明をして断ることだ。それで少なくとも、今回はお断りしますけど、他意はございません、というメッセージを送ることができる。ついでに老婆心ながら申し上げると、仮病もよくない。本当に病気なら致し方ないが、「体調崩しちゃいまして」と言って同情してくれるのは、同じ組織の仲間だけ。ドライな話だが健康状態に不安があるひとに仕事を依頼する人はいない。依頼先が仕事の途中で倒れてしまったらどうするか、ということを考えてしまうからだ。

いっそライバルを紹介してしまう

断る相手が、他に依頼するあてがなく困っているようであれば、あえて同業他社を紹介してしまう、という手もある。全く知らないところに仕事を持っていかれるよりも、自分の知り合いを紹介したほうがよい。紹介してうまくいけば、依頼主に感謝されるし、紹介先にも感謝される。なにより、自分の知る範囲でその仕事が回っていれば、いつかその仕事が戻って来る可能性もある。横のつながりも強まる。「三方良し」の形にすることができる。

忙しさが続く時の見えずらいリスク

ずっと忙しい、というと商売繁盛で結構ではないかと思うのだが、そう単純ではない。意図せずクライアントを減らしてしまったり、気づかぬうちに仕事の幅を狭めていたり・・・。これが自営業の難しいところ。頑張りましょう。